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[メーモー てれりこてれりこ]についてのコメント。

今や、ドームは俺達が適応できないのを解って作られたとしか思えなかった。 

核や環境破壊に備えた、完全内部循環式・超巨大ドーム。俺が3才の時以来、

その中だけが人類の生息地だ。

太陽光を模した電灯も、天候も大気の成分も、ストレスとしての悪天候も含めなるほど

完璧なのだろう。だが、明らかに俺達の世代は――若者達は、歪み、飢えていた。
(6月03日(水)09時03分07秒)
↑の続き
 
久しぶりの雲一つ無い青空は、一昔前の映画のものと何一つかわらない。そう
思いながらも、心のどこかが悲鳴を上げる。違う。違う。違う違う何か、何かが違う
違う違う違う――。
俺が友人達とドームからの脱走を企んだのは4日前。これを作った政府はテロやら
何やらで滅んでいて、無防備なことに肝心のドームの出入口は人気のない廃墟だった。
いや、人ならいる。俺達と同じ目的のやつらが、ドーム中から集まっているのだ。
この辺りは太陽代わりの照明も修復されず、鬱蒼と暗い。所々で誰かが持ち込んだ
バッテリー式の電灯が光を放っていた。初日はその麓のテントで休んだ。
そして、探検をしていく内に気づいたのは、絶妙な難易度だった。どこまで行けば
いいか見当も付かないとはいえ、今のところずっと一応は進める道が続く。半地下の
ドームから出るのは上り坂だ。絶壁であっても銃痕や爆発によるくぼみだとか、
表面を這うパイプによってロッククライミングのように昇って行ける。
数メートルおきの岩棚――岩ではなく機械装置や管理用の小部屋のようだったが、
鉄錆やくすんだペンキに覆われるそれは岩のようでもある――にも助けられながら、
諦めることなく長距離を進めた。
(6月03日(水)09時03分35秒)
↑の続き
 
俺達は昇り続ける。この先の青空を目指して。待ち構えているのは放射能の海と
厚い黒雲かもしれない、どこかでわかりながら、それでも進む。
きっと政府は――もしかしたらテロリストは、この世界に耐えられない人間がいるのを
予期していたのだろう。そうでもなければ、こんなふうに希望をちらつかせることは
しない。その仮定は脱出への可能性と頭のどこかですりかわり、ここまで行けるのだから
辿り着けるのだと無根拠に確信して俺達は外を目指す。
 
この焦燥感は若者独特のもののようだった。バイタリティ、生命力が関係して
いるのかもしれない。時代の荒波に揉まれた俺の母親もドームへの抵抗が無い
わけではないが、せいぜいが――
(6月03日(水)09時04分12秒)
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オリジナルはゆいぼーど&ゆいぼーと